天と地の叙事詩Ⅱ Epic of the Ether

ヘレンは、セカイの顔に視線を移した。




セカイは押し黙ったままじっとヘレンの挙措を見つめていた。





どぎまぎしながら、ヘレンは口を開く。





「あ、あの………。


その右手のもの、離せる?」






そう言われ、セカイは小首を傾げる。




ヘレンは右手の麻布をゆっくりと解いた。




その先に隠されていた剣に気がつき、セカイは軽く目を剥く。






「…………あぁ。


こんなもの、まだ、握ってたんだ………」






「襲われた時に、反撃したのね?


何度も離そうとしたけど、手が固まっちゃってて、だめだったの。


今なら、自分で離せる?」





セカイは右手の指先に意識を集中した。




柄を掴んでいる指の一本一本が硬直していて、動かそうとすると、関節がぎしぎしと軋んだ。






少しずつ、少しずつ、指が離れていく。





時間をかけて、セカイはやっと、剣を手離した。