天と地の叙事詩Ⅱ Epic of the Ether

ヘレンは、驚いたように、ぱっと顔を上げた。






少し高くて、甘く聴こえる声音で呼ばれた「ヘレン」という言葉の響き。




それが、まるで自分の名前ではないように感じられたのだ。





自分には似合わないと、今まであまり好きではなかったその名前が、急にきらきらと煌めき出したようだった。





ヘレンが目を見開いてこちらを見たまま何も言わないので、聞こえなかったのかと思い、セカイはまた口を開いた。






「ヘレン。助けてくれて、ありがとう」






ヘレンは、ごくりと唾を飲み込んだ。






「…………ううん。


………こちらこそ、ありがとう………」






思わずそう言ってから、しまった、と思ったが、セカイは気にした様子もなく口許を緩めた。