さら、と微かな音が聞こえ、頬に触れるものがあった。






瞼の裏に、つやつやと輝きながら揺れる、真っ直ぐな黒髪が浮かんだ。








「ーーーチキュ?」











そう呟いて、セカイは、ゆっくりと目を開けた。






目の前で揺れる髪を、そっと掴む。







「きゃっ!!」





甲高い叫び声が聞こえた。





唐突に髪を掴まれ、驚いたらしい。







セカイは、声が聞こえてきた方向にゆっくりと目を向けた。






そこにいたのは、一人の少女だった。







(………なぁんだ。



チキュじゃない………)






手に掴んだ髪を見てみると、それは黒ではなく、赤みの強い茶色の髪だった。






知らず、ふぅ、と溜息を吐いた。