孤独の海の中に、



にわかに突き落とされたようだ。








今まで周りを包んでいた全てが、




一瞬にして消えてしまった。







大切なものを



指と指の間から



すっかりとりこぼしてしまった、



この役立たずの掌を、





じっと見つめているけれど、








そこには、もう、





なんにもなかった。







今はただ、





人の力など及びもつかない、





圧倒的な水の、





流れる音が聴こえるばかりーーー