よく見ると、その桜色の唇はチキュの赤みが強いそれに比べて薄かったし、眼はチキュの方が大きかった。





眉の形も、少し異なる。



チキュの方は気の強さを表すように濃く釣りあがっているのに対し、光宮のものは上品に細く流れる柳眉だった。






それでも、長く密度の高い睫毛、杏形の双眸、小さな顔の輪郭や、細い首筋、薄い肩、華奢な身体つきまで、二人はそっくりだった。







チキュは顔をヴェールで覆い隠していたので、光宮にはその顔立ちは分からなかっただろう。




タツノも、初めて近くで会った皇太子妃光宮の顔を直視することはなかったので、何も気づかなかった。






チキュだけが、自身と光宮両方の顔を知っていたのだ。






(………どういうことだ?



なんで、オレとこの人の顔が、こんなに似てるんだ?)