ミチハは一見穏やかな笑みを浮かべ、ミカゲに語りかける。
「………ときに、光宮さま。
皇太子妃としての最も重要な任務は、何だとお考えでしょうか」
「…………え?」
脈絡もないことを訊ねられ、ミカゲは首を傾げた。
答えがないので、ミチハはさらに言葉を重ねた。
「この天国が、これほどまでに安定しているのは、やはり皇統が安定しているからです。
たとえば、後継者争いなどが起これば………。
政は乱れ、それが天貴人の争いへと結びつき、ひいては天つ民の疲弊へ、………天国全体の混乱へと繋がっていくのです」
ミチハの声には、容赦の響きが全くなかった。
ミカゲは眼を剥き、言葉を発することなく目の前の顎鬚の男を見つめている。
その姿はやはり気高く美しく、見る者を魅了する輝きを放っていた。
「………ときに、光宮さま。
皇太子妃としての最も重要な任務は、何だとお考えでしょうか」
「…………え?」
脈絡もないことを訊ねられ、ミカゲは首を傾げた。
答えがないので、ミチハはさらに言葉を重ねた。
「この天国が、これほどまでに安定しているのは、やはり皇統が安定しているからです。
たとえば、後継者争いなどが起これば………。
政は乱れ、それが天貴人の争いへと結びつき、ひいては天つ民の疲弊へ、………天国全体の混乱へと繋がっていくのです」
ミチハの声には、容赦の響きが全くなかった。
ミカゲは眼を剥き、言葉を発することなく目の前の顎鬚の男を見つめている。
その姿はやはり気高く美しく、見る者を魅了する輝きを放っていた。



