天と地の叙事詩Ⅱ Epic of the Ether

クオンの硬い表情を見て、ミチハはくすりと笑う。




そして兄に挨拶をして、席を立ってクオンとミカゲたちの近くまでやって来て、一礼してから座った。





「…………皇太子殿下。


この間は、どうも………」





その言葉に、クオンは頬をぴくりと震わせたが、やはり表情は変えないまま、低い声音で答える。





「ーーーいえ。


こちらこそ」






なぜか冷ややかな視線を絡める二人を、ミカゲが横目で見ていた。





(………クオン、どこか変だわ)





物心ついたころから、一緒に過ごしてきたのだ。




いくら表情の変化がなくても、その心の奥底で感情が渦巻いていることは感じ取れる。





ミカゲは暗い顔で俯いた。





その横顔を、アスカがじっと見つめていた。