天と地の叙事詩Ⅱ Epic of the Ether

ミチハはゆったりとした歩調で座敷に入って来た。




真っ直ぐに天皇の元へ行き、跪く。





「天皇陛下。


ご招待にあずかり、光栄に存じます」





天皇が笑顔で頷いた。



それに気がつき、タカハがにっこりと微笑む。





「おぉ、ミチハじゃないか!」




ミチハも軽く笑い返した。




「兄上、ご無沙汰しております」




「しばらくぶりだな。

元気にしていたか」




「見ての通りですよ。

兄上こそお忙しいようですが、お変わりありませんか」




年の離れた兄弟どうし、久々の会話を交わす。




年齢は十以上も離れているが、外見はよく似ていた。




ミチハの顎髭がなければ、どちらか見紛えてしまうほどだ。




タカハの隣に座ったミチハは、ちらりとクオンに目を向ける。



クオンは表情を失くして見つめ返した。