天と地の叙事詩Ⅱ Epic of the Ether

「なに?」





タカハの情報に、天皇はいたずらっぽく目を光らせた。





「なかなか面白いじゃないか。


よし、ひとつ、天国きっての遊び人をここにご招待することにするか」





そう言って目配せをすると、近くに控えていた女官がすぐに立ち上がった。




そして、ソガノ家の一門が集まる一画へ静かに歩み寄る。





「………もし、タツノ様でございますか」




見知らぬ女性に突然声をかけられ、タツノは少し驚く。





「………ああ、そうだが………。


何か?」





チキュも興味深々と覗き込んでいる。



女官は小さく言う。




「わたくしは、皇室付きの女官でございます。


天皇陛下がお呼びでございますので、お座敷の方へ、どうぞ」





その言葉を耳にして、ムラノは目を輝かせた。




「なんと、タツノ!!


天皇陛下と直々にお話できるのだぞ!!


陛下のお覚えめでたくなるよう、心がけるのだぞ!! わかったな!!」





権力欲を隠さない父親を「はいはい、分かった分かった」と軽くあしらいながら、タツノは立ち上がった。




そして、チキュの手を取る。




「お前も行くぞ」