天と地の叙事詩Ⅱ Epic of the Ether

その頃、皇家の座敷には、太政大臣のタカハがやって来ていた。




「天皇陛下。


本日は、このような素晴らしい宴にご招待いただき、有難き光栄だと存じます」





タカハの人の好い笑顔に、天皇も相好を崩す。





「ああ、大臣、来てくれてこちらも嬉しいよ」





タカハは一礼し、隣り合って座るクオンとミカゲに目を向けた。





「皇太子殿下、ご機嫌うるわしゅう。


光宮さま、長く体調を崩しておられたと伺いましたが、もうよろしいのですか」





ミカゲはゆったりと口角を上げ、軽く頷く。





「ご心配を頂きまして、申し訳ございませんわ。


もうすっかり良いのです。


少し大事をとっていただけのことでございますわ」




「そうですか。


他の天貴人たちも今日は、めでたくご婚約なさったお二人のお幸せな御姿を拝見できるとあって、さぞ楽しみにしていたことでしょう」





タカハは我が事のように嬉しそうに笑った。