天と地の叙事詩Ⅱ Epic of the Ether

「タツノ!!


あれ、誰!?」




チキュが訊ねてきた。



歓声の渦に消されないよう、タツノの耳許で叫ぶように言う。




「あの女の人、誰なんだ!?


みんなうっとりしちゃってるけど!!」





それでもやっと聞こえるくらいで、タツノは苦心して何とか聞き取った。




そして今度は、タツノがチキュの耳許で怒鳴る。





「あれは、光宮だよ!!


若くして亡くなった天皇の兄の一人娘で、あの皇太子………時宮と婚約したばかりの姫だ!!」





タツノは目立たないように時宮を指差しながら、説明してやった。




「へぇ〜!!


なんとなくわかったよ!!」





チキュは真近で上げられる歓声の轟音に耐えきれず、耳を塞ぎながらタツノに頷き返した。




そして、天皇たちへと目を凝らす。