天と地の叙事詩Ⅱ Epic of the Ether

その時、集っていた天貴人たちが一斉に鈴の音を鳴らし始めた。




奥の間から皇家の人々が御出でになるという合図が出されたのだ。





突然鳴り響き始めた鈴の音に、チキュは驚いたように目を丸くして、きょろきょろと周りを見回す。





「な、なにやってんだ? みんな………」




タツノは上着の胸元から、ある物を二つ取り出し、一つをチキュに手渡した。




「アカネ、これを手首に着けろ」



「へ??」




指先ほどの大きさの、小さな白硝子の鈴がたくさん付いた腕輪だった。





「あっ、これ!!


さっきの姫さんたちが着けてたやつ!!


一体なんなんだ? これ」





チキュは隣に座るタツノを見上げた。





「白鈴の腕輪だよ。


天の一族は、祭りや宴の時には必ずこれを着けて来るのが習わしなんだ」





周りを見てみると、確かに全員が、多少の形状の違いはあるものの似たような腕輪を着けていた。