天と地の叙事詩Ⅱ Epic of the Ether

しばらくすると、奥の間に近い席から徐々に波紋が拡がっていくように、喧騒が静まり始めた。





とうとう始まるか、とタツノは緊張感を走らせる。



しかしその緊張の所以であるチキュは、ハツノ・ナツノ姉妹とまだ盛り上がっていた。




ソガノの周囲も静かになってきたので、話し声で人目を引いてしまう前にと、チキュの袖を引いて黙らせる。





チキュは慌てて口を閉じ、前に向き直った。





「お、とうとう始まるのか?」




わくわくと目を輝かせている。



先程ミチハに会ったときの表情とは別人のようだ。






(………つくづく、分からん奴だな)





タツノは心の内で首を捻った。