その声に気が付き、ミチハは視線を下に移した。
その目が、チキュの首飾りに留まる。
そして、視線をゆっくりと上げ、ヴェール越しに小さな顔を見つめた。
「まさか………」
男の不穏な視線を受けて、チキュはぴくりと肩を震わせた。
「なんだよ、あんた?」
「…………そなた。
『エーテル』か………?」
地から響くような声でそう訊かれたが、もちろんチキュには何のことか分からない。
一方タツノは、(やはり、気づかれたか)と思う。
これは予想外でも何でもなく、想定の範囲内だった。
一度は手に入れかけた『エーテル』の顔立ちや身体き、赤い首飾りのことなど、ミチハがあらゆる情報を手にしているのは当然だった。
だからこそ、ミチハが容易には手を出せないよう、チキュとの婚約を決めたのだ。
戸惑っているチキュの肩を、タツノはそっと抱き、ミチハを睨みつけた。
「中納言殿。
俺の大事な姫を、じろじろと見ないでくださいよ」
そのまま背後に隠すようにした。
ミチハの顔がみるみる険しくなる。
「…………そういうことか。
なるほど、考えたな。
………ふん、面白くもない」
吐き捨てるようにそう言うと、苛立たし気に顎鬚を弄りながら、ミチハは足音高く立ち去った。
その目が、チキュの首飾りに留まる。
そして、視線をゆっくりと上げ、ヴェール越しに小さな顔を見つめた。
「まさか………」
男の不穏な視線を受けて、チキュはぴくりと肩を震わせた。
「なんだよ、あんた?」
「…………そなた。
『エーテル』か………?」
地から響くような声でそう訊かれたが、もちろんチキュには何のことか分からない。
一方タツノは、(やはり、気づかれたか)と思う。
これは予想外でも何でもなく、想定の範囲内だった。
一度は手に入れかけた『エーテル』の顔立ちや身体き、赤い首飾りのことなど、ミチハがあらゆる情報を手にしているのは当然だった。
だからこそ、ミチハが容易には手を出せないよう、チキュとの婚約を決めたのだ。
戸惑っているチキュの肩を、タツノはそっと抱き、ミチハを睨みつけた。
「中納言殿。
俺の大事な姫を、じろじろと見ないでくださいよ」
そのまま背後に隠すようにした。
ミチハの顔がみるみる険しくなる。
「…………そういうことか。
なるほど、考えたな。
………ふん、面白くもない」
吐き捨てるようにそう言うと、苛立たし気に顎鬚を弄りながら、ミチハは足音高く立ち去った。



