天と地の叙事詩Ⅱ Epic of the Ether








「………おやおや」





二人が宴の会場に到着し、ソガノ家の席を探していると、すぐ後ろで、低い声が響き渡った。





タツノはゆっくりと振り向く。





「貴方は、ソガノ家の跡継ぎ、タツノ殿ではありませんか」





二人の背後に立っていたのは、顎鬚を長く伸ばした大男である。






「中納言殿………」





ミチハであった。



タツノは動揺を表情に出さないよう気を落ち着けながら応えた。




突然様子の変わったタツノに気づき、チキュは怪訝な顔をする。




長身の男が二人、チキュの顔の大分上の方で、なんだか宜しくない雰囲気で見つめ合っている。




居心地が悪くなり、チキュはそっとタツノの袖を引いた。




「………どうした? タツノ。


これ、誰?」