天と地の叙事詩Ⅱ Epic of the Ether

ちなみにその頃。


先ほどの姫君たちはふと足を止めて、話し合っていた。





「………ねね、ところで。


さっきタツノ様の隣に、何だか小さい方がいらしたわよね」




「あ、そういえば」




「一体どなたかしら?」




「ヴェールで隠していらっしゃったから、お顔が拝見できませんでしたけど、妹君でいらっしゃるんじゃなくて?」




「ああ、そう言えばムラノ参議どのには娘君がお二人いらっしゃったわね」




「じゃ、きっとそうよ」




「そうね、まだ成人もなさっていないようなお若い姫君でしたもの」






ーーー上品な姫君たちの全員が驚愕にぽっかりと口を開き、絶望に打ち拉がれる瞬間がもうすぐ訪れることは、この時の彼女たちには知る術もなかった。