「タツノ様。
一体、どなたが貴方様の寵姫に選ばれたのですか?」
一人の姫が勇気を出して訊ねた。
タツノは脂汗を流しながら、苦し紛れに逃げ道を作る。
「………ああ。
それは、この後の宴の席で披露するつもりだ」
姫君たちはきゃあきゃあとざわめき、「楽しみにしておりますわ!」などと口々にタツノに声をかけて去って行った。
それを見送りながらチキュは、タツノを見上げて言う。
「あんたも罪な男だなぁ!!
あんな綺麗な女の人たちを惑わせて!」
またもや屈託のない笑顔だ。
苦々しく複雑な表情を浮かべているタツノに気づくこともなく、さらににじり寄ってきて、囁く。
「………で、誰と結婚するんだ?
あの中の人? それとも他にいるわけ?」
「…………うん。誰だろうなぁ」
「ちぇっ! なんだよぉ、焦らすなよぉ。
オレとあんたの仲じゃないか!!」
ぐりぐりと肘で突ついてくるチキュに閉口しながら、タツノは宴の会場へとチキュを連れ立って行った。
一体、どなたが貴方様の寵姫に選ばれたのですか?」
一人の姫が勇気を出して訊ねた。
タツノは脂汗を流しながら、苦し紛れに逃げ道を作る。
「………ああ。
それは、この後の宴の席で披露するつもりだ」
姫君たちはきゃあきゃあとざわめき、「楽しみにしておりますわ!」などと口々にタツノに声をかけて去って行った。
それを見送りながらチキュは、タツノを見上げて言う。
「あんたも罪な男だなぁ!!
あんな綺麗な女の人たちを惑わせて!」
またもや屈託のない笑顔だ。
苦々しく複雑な表情を浮かべているタツノに気づくこともなく、さらににじり寄ってきて、囁く。
「………で、誰と結婚するんだ?
あの中の人? それとも他にいるわけ?」
「…………うん。誰だろうなぁ」
「ちぇっ! なんだよぉ、焦らすなよぉ。
オレとあんたの仲じゃないか!!」
ぐりぐりと肘で突ついてくるチキュに閉口しながら、タツノは宴の会場へとチキュを連れ立って行った。



