タツノは足早にソガノ家の区画に向かった。




取り次ぎもそこそこに、父ムラノの居室に足を踏み入れる。





「………父上。


早馬で事前にお知らせした通り、無事に『エーテル』を入手いたしました」




タツノの言葉に、ムラノはにんまりと満足気な笑みを浮かべた。




「よくやった、タツノ。


やはりお前は私の後継者として本当に有望だな」




タツノは少しおどけた動作で頭を下げる。




「それはどうも。


身に余るお言葉、光栄にごさいます」





その言葉に含まれる皮肉は無視して、タツノの肩に担がれているものに、ムラノは視線を向けた。