チキュが冷たい視線を投げかけてきたので言葉を切ると、思い切り足を踏まれた。




「タツノ!! 偉そうだぞ!!


この前も言っただろ?


人にものを頼むときはもっと腰を低くすべきだ!!」





タツノが痛そうに顔を歪め、踏まれた足をさする。




「いたたた……。


分かった分かった、俺が悪かった。


どうか悪目立ちしないよう、宜しくお願い申し上げます」





「よろしい!」





「なぁ、本当に頼むぞ。


変に目立つと命取りだからな」





「わーってるって」





にへらと笑いながらぷらぷらと手を振るので、さらに心配になった。





「……よし、決めた。


お利口さんにしてたらご褒美をあげよう。


お前が食べたい物、なんでも取り寄せてやる」





その言葉にチキュがぱっと顔を輝かせた。





「えっ! まじで! やったぁ〜」





溢れんばかりの笑顔を撒き散らす。






食べ物で釣っておけば大丈夫だろうと、タツノは少し安心した。