僕が席に着いてほどなくして葬儀が始まった。

お坊さんが着席し読経が始まる。

読経が終わると、次は焼香だ。

親しい人から順番に焼香していく。

やがて僕の番が回ってきた。

痺れの切れた足を騙(だま)し騙し何とか立ち上がる。

僕はよたよたと祭壇に向かった。

何とか祭壇まで辿り着き、位牌の前に正座する。

僕は香を掴むと何度か拝礼し香炉にくべた。

香の芳しい香りが辺りに満ちる。

僕は手を合わせると目を閉じた。