ようやく、部屋の中へと入り、玄関口に立つ。

部屋の中は薄暗かった。

パチリ

と、音を立てて、照明を点ける。

僕はジャケットのポケットからハンカチを取り出すと噴出す汗を拭った。

クーラーが止まっているのか酷く蒸し暑い。

僕は靴を脱ぐと台所へと上がった。

秀美のマンションは1Kだ。

台所の奥に寝室がある。

辺りの気配をうかがうが、人の気配は全く感じられない。