「麗子は秀美さんへの誤解を解き、その恨みを捨てました」

僕は大きな安堵のため息を吐いた。

「良かった・・・」

思わず笑顔がこぼれる。

「でも、不思議ですよね」

何だろう?

僕は冬子さんの顔を覗(のぞ)き込むように見た。

「恨みは復讐しても決して消えない。

いゃ、逆に、いよいよ深く強まってしまう。

でも、殺しても殺し足りないほど憎んだ相手を心から許した時、綺麗に消え去るのです」