冬子さんは秀美に顔を向けた。

「秀美さん、あなたは本当にラッキーな人ですね」

秀美が当惑したような表情を浮べる。

「なぜですか?」

「もし、この携帯をあなたが持っていたら・・・」

冬子さんが少し間を置いた。

「あなたはもう生きてはいなかったでしょう。

優輝さんが持っていたからこそ今まで何とか生きていられたのです。

優輝さんのあなたを想う愛の力が悪霊の力を封じ込めていたのです」

そう言うと、冬子さんはまたあのバッグをゴソゴソと弄(まさぐ)り始めた。

中から小さな台を取り出す。