少し安心した僕は窓の外に視線を転じた。

12階建てのホテルの最上階にあるこの部屋からの夜景は最高だった。

夜の悲恋湖が所々に設置された外灯の明りに照らされて深い闇の中にぼんやりと浮かび上がっている。

息を呑むほどに神秘的で美しい光景だった。

思わず感嘆のため息が漏れる。

と、その時だった。

突然、冬子さんが沈黙を破って口を開いた。

「あの・・・。

秀美さんにお尋ねしたい事があるのですが・・・。」

秀美がゆっくりと顔を上げ冬子さんに顔を向ける。

「何でしょうか?」