僕達は展望台の正面に回った。

とたんに強い風に煽られる。

少し肌寒い。

すでに日は沈み辺りは薄暗かった。

薄闇の向こう黒々とした深淵を湛えた悲恋湖が不気味に横たわっている。

僕達は岬の先端へ向かって歩いて行った。

薄闇のせいでひどく物が見ずらい。

と、その時だった。

僕はハッと歩みを止めた。

立ち止まり、目を凝らす。

薄闇の向こう岬の先端に誰かの人影がシルエットになって浮かび上がっている。