「秀美さんが居るのはこのホテルです」

冬子さんが忙(せわ)しなく口を開いた。

「さぁ、急ぎましょう。

もうほとんど時間が残されていません」

冬子さんは急ぎ足でホテルの入口目指して歩き始めた。

僕も後に続く。

僕達は自動ドアを通り抜け、エントランスホールへと入った。

受付のカウンターに向かう。

僕達がカウンターの前に立つと、30歳位の綺麗な受付嬢が営業スマイルを浮べながら僕達に声を掛けてきた。

「いらっしゃいませ。

お泊りでしょうか?」