低く唸り続けるエンジン音。

窓からは爽やかな高原の風が吹き込んでくる。

僕達は一路悲恋湖に向かって車を急がせていた。

窓の外を見やる。

緑に覆われた美しい景色が矢の様に流れ去って行く。

旅行で来たのならどんなに良かっただろう・・・。

そんな事を考えながら、僕は冬子さんに話し掛けるでもなく話し掛けた。

「ところで、冬子さん、あの強姦事件の現場はもう霊視なさったんですよね?」

冬子さんが前方を睨みつけたまま答える。

「えぇ、もちろんです」