「あれが無いと命の保障はしかねます・・・」

冬子さんが言葉を継いだ。

「どうします?

これから取りに帰りますか?」

いゃ、これから取りに帰ればおそらく2時間以上は時間をロスすることになるだろう。

その間に取り返しのつかない事になりかねない。

僕は着ていたティーシャツの胸元をギュッと握り締めた。

「いぇ、このまま悲恋湖へ向かいましょう」

冬子さんが僕を正視する。

「良いんですね?」

僕はぐっと唇を噛み締めた。