冬子さんがゆっくりと目を閉じる。

それから冬子さんは優しく写真の表面を摩(さす)り始めた。

ピリッと辺りの空気が張り詰める。

いよいよ冬子さんの霊視が始まったのだ。

冬子さんの霊視の邪魔はしたくない。

僕は静かに寝室の外に出た。

秀美の携帯を取り出す。

開くと、まだ秀美がニッコリと微笑んでいた。

良かった。

秀美はまだ生きている。