小さなため息が一つ漏れる。

僕はジャケットのポケットから携帯を取り出すと時間を確認した。

午前11:30を少し過ぎている。

そろそろ冬子さんとの待ち合わせの場所に向かった方が良さそうだ。

ここからだと1時間以上かかってしまう。

僕は席を立った。

「あれ、どうしたの?」

敬子ちゃんが首を傾げながら聞いて来た。

「うん。

これからちよっと知り合いと約束があるんだ・・・」

「ふ~ん」

そう言うと、敬子ちゃんはニコッと笑った。

「じゃ、またね」