コツ コツ

と、靴音を響かせながら、入口のドアの前の短い階段を昇る。

見た感じ、ドアにカギは掛かっていないようだ。

僕はゆっくりとドアを開いた。

ギィ ギィ

と、軋んだ音を立てながらゆっくりとドアが開いていく。

ドアが開くと、廃ビルの中から埃(ほこり)っぽくかび臭い匂いが漂ってきた。

思わず顔をしかめる。

僕は恐る恐る廃ビルの中を覗き込んだ。

廃ビルの中は真っ暗だった。

何も見えない。

よし、

そう、小さく呟くと、僕は廃ビルの中へと入った。