ガタン ガタン

規則正しい車輪の音。

ガタン ガタン

窓の外を街並みが矢のように流れ去って行く。

僕は電車の昇降口の扉のガラスに額を押し付けながら流れ去る景色を眺めるでもなく眺めていた。

吐く息が窓ガラスを白く染める。

やがて僕の思考は過去の記憶の中をゆらゆらと漂い始めた。

秀美・・・。

君はいつでも何でも自分一人で背負い込んでいたよね。

「大丈夫、大丈夫」

それが、君の口癖だった。