「一体何が来るって言うんだよ。」
怪訝そうな顔をしながら
土方は身体を起こした。
あたしは神経をとがらせて
その気配に集中した。
何というか…
「…何か邪悪な気配が…」
「…テメェ、遂に俗にいう厨二病とやらにでもなったんじゃねーのか。」
「違うわ、ボケ。」
あきれかえる土方に、
あたしも呆れ返った。
人が真面目に言ってんのに
何なんだこいつは。
あたしは、はぁ…と溜息をつきながら、もう一度集中する。
「…。」
「…。おい、」
黙り込んだあたしに、土方が声をかけてくるが、まぁ無視無視←
目を閉じて、気配を探す。
ぼんやりと浮かんでくるのは、
「…っ」
黒。
いろんなものが混ざり合って
最終的に黒になったような、
淀んだ黒色。
下手したらあたし自身も飲み込まれそう。
そんな黒の気配が、
どんどん近づいて…
近づいて…
ーーっ、ギシっ…ーー
近づいて…
ーーギシッ、ギシッ…ーー
近づい…て…?
ーーギシッ。
ふと、あたし達のいる部屋の前で
静かに足音が止まった。
あたしと土方は顔を見合わせ、
恐る恐る視線を襖の方へと向けた。
「土方さーん、夜中なのにまだ起きてるんですかぁー?…あ、まさか怪談のせいで眠れないんですか?」
…。
「「((テメェかよ!!!!))」」
聞きなれた沖田の声に、
あたしと土方は心の中で叫んだ←

