余裕の表情を見せる土方に顔を引きつらせ、あたしは、はぁ…と溜息をついた。
「ちっ、まぁいい。
もう用がないんだったら、あたしは部屋に戻…」
ググググ……
何故か前に進めないので、
後ろを振り返ると、
土方があたしの刀をガッシリつかんだままだった←
…。
「…離してクダサイマセンカ?←」
「は?テメェが振り下ろしてきたんだろ。」
…。
「…だからといって、離さないのはおかしいと思うんですが、ふくちょー。」
あたしが刀を土方の手から外すべく、ぶんぶん振り回しながら言うと、土方がニヤッと笑みを浮かべた。
「…そりゃ、まだテメェに何もしてねぇからな。帰す訳にはいかねぇ。」
未だに刀を離さない土方を見下ろして
あたしはふんっ、と鼻で笑った。
「寝っ転がったままでよく言えるな?
このまま刀で突いてやろうか、心臓を←」
既に寝る体制の奴が何を言ってんだ?
あたしは、引っ張るのをやめて
逆にグイグイと刀を押しはじめた。
さすがに片手じゃ耐えきれないだろ。
そう思ったが、
…。
「テメェは、何処ぞの筋肉バカか?」
「…新八と一緒にするなよ。」
ビクとも動かない←
あたしは、はぁ…と溜息をつき、
顔をひきつらせた。
「…おいコラ、あたしは明日非番じゃねぇんだぞ。は、な、し、や、が、
うわっ!!??」
全力で刀をひっぱろうと踏ん張る一歩手前で、あたしの身体は前へと引っ張られた。
そして、その行き先はもちろん、
「…くくっ…(笑)」
「テンメェ…!!!」
笑いこらえて小刻みに震える
土方のお腹の上でした←
何なんだ、何なんだ、何なんだあああああ!!!!!
カーッとなって、
すぐさま、飛びのこうとしたが、
…。
「…!?」
突然、
怒りと恥ずかしさで上がった体温が
一気に下がるような、そんな気配を感じた。
「おい、どうした?」
急に硬直したあたしに、
土方は未だに笑いを堪えながら言った。
普段なら拳の一発や二発…いや百発でも、腹にお見舞いしたいところだが…
あたしは恐る恐る視線を
月明かりの漏れる襖の方に移し、
静かに言った。
「…何か…来る。」
「…はぁ?」
急に真面目な顔になったあたしに
土方は何言ってんだ、と顔を顰めた。

