あたしはふぅ…と一息つき、
刀を握りしめ、
山南さんの部屋へと歩き出した。
土方に気付かれたら面倒なので、
細心の注意をはらって
まさに抜き足差し足で廊下を歩く←
…。
…ギシ…
…。
…ギシ…
「…。」
自分の足音がとてつもなく怖いんですけど!?
廊下がいい具合に軋むんですけど!?
一歩歩くたびに軋む廊下にビビりながら、土方の部屋を半分ぐらい過ぎたくらいの場所で、あたしはふと立ち止まった。
「…。」
よくよく考えたら、
一回覗いた事のある山南さんの部屋…
山南さんって学問とか詳しいから
それについての物がいっぱいある。
例えば、
その学問ごとの本とか、
医学の人体のつくりの絵とか。←
「…。」
…いやいやいやいやっ、
幽霊も怖いけれど、
その絵を夜に見るのも怖えーよ!!←
一回見ただけでも印象に残るような…
ザ・グロテスクな絵←
散々人を斬ってきたけれど、
あんなに詳しく解説されちゃあねぇ…
その絵がふと頭をよぎり、
あたしの身体はクルリと自分の部屋方面へと回転した←
「…。」
やっぱり…
…自分の部屋がいいよな!←
うんうん、と頷きながら、
あたしはそう自分に言い聞かせ、
部屋に帰ろうと一歩踏み出した時、
「…っ…!?」
ふと真横に気配を感じた。
ま、
ま、
まさか…!!!
この流れからして、
出てくるのはアレだよな…!?
だって怪談とかやったら
よってくるっていうもんな!?
そう考えた瞬間
全身からブワッと冷や汗が。←
多分、今のあたしの顔は絶対青い←
今すぐ走り出したいのに、
身体が固まって動かない。
動けない間に
どんどん気配は近づいてくる。
あたしの鼓動もどんどん速くなる。
そして、
ほんとに真横に気配が来た瞬間、
スパーンッ!!!!!
「ひぃっ!!…じかた死ねぇぇええ!」
「ひっ…!…なたかよ…テメッ!?」
突然部屋から出てきた土方に
とりあえず刀(抜き身)を振り下ろした。←

