「新八さんは話下手そうだしね、
じゃ、次話したい人ー」


俺呼ばれた意味ある?
と沈んでいる永倉は無視無視。


永倉を軽く流して、
沖田が聞くと、
今度は原田が手をあげた。


「俺もあるぜ!
…ある男が遊郭に行った時、
とても美人な花魁がいたんだ。」


「そーゆー系の話は男だけでしろ。」


遊郭という単語にあたしが顔をしかめると、原田がハハハッと笑い、ちげーよ、ちゃんとした怪談だ、と言った。


そして、話をし始めた。


「男はその花魁に惚れて、しょっちゅう会いに行ってたんだ。
ある日、男が花魁を訪ねると、
『まだお化粧しとんねや、ちょっと待っておくんなんし?』と部屋の中から花魁の声がしたらしい。でも、待ちきれなかった男は、許可もなしに部屋に入ったんだ。するとその女の顔は…」


いかにも怖い話のように溜める原田を
まだ部屋にいた平助と永倉が緊張の面持ちで見ていた。


沖田、土方、斉藤は全然ビビってない←
むしろ、涼しそうな顔をしている。


…ってあれ、涼しい顔出来んなら
怪談やって涼しくする意味無くね??


そして、あたしもその涼しい顔が出来る部類に入る。


「その女の顔は…」


と、言いかけた原田を、


「どーせ顔が無かったとか言うんだろ。
それは、のっぺらぼうだのっぺらぼう。」


ズバッと切り捨てた←


「だぁー!!せっかくいい感じに話してたのによー!!」


と原田が頭を抱えた。


「そうだぜ、日向!
盛り上がってたのによー!!」


もう少し空気を読もうぜっ
と、永倉。


何処が盛り上がっているんだ。
三馬鹿以外、皆ビビってないじゃないか。


そして、それ以前の問題が、


「人の部屋で勝手に始めといて、何言ってんだコノヤロー。第一、あたしは妖怪だぞ?妖怪に妖怪の話してもビビる訳ないだろ。」


やりたきゃ、他所でやれ。
と、あたしは幹部共をじとっと睨んだ←


すると、ふーん、と沖田が
黒い笑みを浮かべた。
…気がした。


「日向、怪談怖いの?」


「ちげーよ。」


あたしはキッと沖田を睨んだ。


今言ったばかりじゃないか、
妖怪に妖怪の話してもビビる訳ないって。


すると、沖田はうーん、と考えて、
何を思いついたのか、フフフッと黒い笑みを浮かべた←


「何だよ気持ち悪い。」


あたしが顔をしかめると、
沖田は言った。


「怪談は妖怪の話だけじゃないよ??」


そう言って、沖田はゆっくり話し始めた。