「バーカ、そんな事する訳無いだろ。
ちょっと脅かしてみたかっただけー」


あたしが狐火を次から次へと出していると、廊下の方から足音が聞こえた。


…この気配は…


「おい平助、どんだけ呼びに行くのに時間かかってんだよ……って、何だ!?」


襖を開けるなり、
あたしを凝視して固まった原田←


…あー…原田も知らないんだっけ。


と、あたしは心の中で苦笑いした。


「とりあえず入って襖閉めろ原田。」


「お、おう…」


部屋の中に入り、襖を閉めた原田は、
あたしの目の前まで来て、
物珍しそうにあたしを眺めた。


「日向…


それカツラか?」


「ちがうわアホ。」


正真正銘地毛ですが。
と、あたしは顔を引きつらせた。


すると、今度は、
あたしの頭の上の耳を見て言った。


「この耳は…?」


「耳以外の何だって言うんだよ。」


こいつはアホか、アホなのか。


「触っても「死ね。」ええええ!?」


「尻尾は「死ね。」いや俺何も言ってないけど!?」


最近、原田の扱いが雑なのは
気のせい気のせい←


「一個一個聞かないと分かんねぇのか、
テメェは。」


あたしははぁ…と溜息をついた。
すると、


「その火は何だ??」


「…まだ言うかテメェ。」


前の料理でのイケメンぶりは何処へ行ったんだ。


ほとんど小学生じゃないか。


狐火に興味を持つ原田に
あたしはふと思いついた。


「原田…これ触ってみろよ←」


あたしは未だに手のひらに灯している狐火を、原田に近づけた。


「は!?火傷するじゃねぇか」


「…それならあたしの手はとっくに丸焦げになってるはずだけど。」


あ、確かに。と、あたしの手を見て納得している原田。


そして、平助と同じく、
恐る恐る手を近づけると、


「うぉ!?何か涼しーなこれ!?」


予想していた間反対の感覚に
とても驚いている原田。


それを見て第一被害者の平助が、
ククッと笑っているのには
気づいていないらしい←


「どうだ?夏にはもってこいの便利な炎だろ??」


あたしが笑いそうになるのを堪えていうと、


「あぁ。ずっとあたっときたいぐらいだな←」


そう言って、原田は狐火でガッツリ涼みだした←


自分の命がどんどん削られているのも
知らずに←


「原田、この狐火が熱くなくて涼しい訳を教えてやろう。」


「おう、何で涼しいんだ?」


流石に可哀想なので、
ここでネタばらし(?)を
することに←


「この狐火、通称ひとだまによって、
テメェの生命力が吸い取られて、
生気がなくなっているからだ。
…ちなみに、現在進行形で←」


「はぁあああああ!!??
俺、殺されかけてたのかよ!?」


平助も凄いリアクションだったが、
原田も原田でかなり凄いw←


「まぁ、あたしの本職は妖怪だし。
…そういや、古高俊太郎はこの方法で殺ったな。」


「…軽く拷問かけてたって事かよ←」


顔を真っ青にする原田。


原田が青ざめているのって…
あんまし見たことないな、そういや←