なんだか不可解で曖昧な説明だとディルバは思ったが、見た目の兄妹が濃厚なキスシーンを見せびらかせてくれる状況は、このまますぐに帰宅して寝てしまっても、頭に焼き付いて離れないと思った。


次の瞬間、ディルバは目の前が真っ暗になった。
唇にドロッとしたものが覆い尽くされた感覚に陥った。


(ううっ・・・気持ち悪い・・・)


「よし、あとは先生に任せるから、俺は風呂にいってくるわ。
俺がもどったら授業だからってチェルミに伝えておいてくれな。」


唇の不快な感触はどうやら、魔力の塊だったらしい・・・。


言われたとおりに、ディルバはチェルミの唇から魔力を送り込む作業を始めた。


「鼻で息をしながら、ずっとキスし続けるんだったな。
だけど・・・そんなの学校の誰かに見られたら、とんでもない話だな。」


20分ほどして、ドン!とディルバは突き放された。


「どうして!!どうして、魔力補給を先生がしてるの?」


「それはだな・・・えっと・・・。」


ディルバは、授業という言葉に興味を持ってきてしまったことと、偶然見かけたことをカリフにあれこれと文句を言ったらこうなったと気まずそうな顔で説明した。


「あ、ありがとう・・・。」


「えっ?」


「だって、先生は男だから、カリフから魔力引き受けたら気分悪かったでしょう?
なのに、私のためにそんな思いして、魔力与えてくれたから・・・。

それに、先生の魔力は元気が出て温かいから。」



「俺は魔法使いじゃないから、魔力なんて・・・」


「ううん、人間にも魔力は微量だけどあるんだよ。
だから、カリフのくれる魔力に先生のも加わってるの。」


そこへ風呂上がりのカリフがやってきて


「ああ、補給終わってるな。じゃ、始めよう。」


「はい、お願いします!」


ふだん、乱暴なやりとりの多い兄妹だと思われた2人がここでは完全な師弟関係であることがディルバにはわかった。


静かに2人のやりとりを見守っていた。



「よし、今夜は、変身魔法の練習だ。
小動物なんかは以前いろいろとやったと思うが、今夜はH気分な先生もおいでなのでな、セクシーな女というテーマでやってみよう。」


(せくしーな女だって・・・!?)


「まずはイメージをコピーするやり方からだ。
このグラビア雑誌の女になってみる。」


手近にあった雑誌のページに掲載されている女の写真を見て、まずはカリフがそのモデルに変身した。


ボワ~~~~~ッ!


「おぉおおおおおお!すごい。きれい・・・」


カリフはまるで雑誌のモデルが飛び出してきたかのような見事な変身を見せた。

横で見ていたディルバの目もハート型になったくらいの出来栄えだった。


「すげぇ・・・いい女。」


「先生、その人カリフだから!」


「わ、わかってるって。そんなこと・・・あはは。」



すぐに変身を解いて、チェルミに次のページに載っている高校生モデルに変身するようにカリフは命令した。


「よぉーーーーし!ルル、ルルルル、高校生美人モデルになぁ~~~れ!」


ボワ~~~~~~ン!


「おぉぉぉ!チェルミ、すごい。うまいな・・・。」


ポニーテールにチェックのミニスカート。襟を少し開け加減のブラウスにスポーツバッグをかついだ、雑誌のページさながらの女子高生モデルのできあがりだった。


「よし、解除だ。上出来だ!

では、少し難度をあげて、そうだな・・・この写真の女になってみろ。」


「これはお母様の若いときの写真じゃない!」


「そうだ。おまえの身内には見破られることは間違いないけどな、身内にならなきゃいけないこともないとはいえないからな。」


「わかったわ。お母様そっくりになってあげる。
ルル、ルルルル、若いときのママになぁれ~~~!」


ボワ~~~~~ン!


「あん、やだぁ・・・服のイメージが・・・まだ。」


「おわっ・・・あ・・・チェルミ・・・のお@@ぱいが。」


「ほれっ、創造力がぜんぜん足りない!!!
写真が途中で途切れていたら、足りない服のイメージは自分でふくらませるんだ!」


「は、はい・・・。や、やだ・・・先生、なんか目がイヤラシイわ。」


「ご、ごめん。(びっくりした・・・。意外にチェルミは巨乳だったとは・・・)」