チェルミはディルバに言われたように弱めの攻撃魔法を使って連続で攻撃した。
3回目に火の魔法がかすったようだったがテレポートでうまく逃げられてしまった。
そして4回目に水の魔法の呪文を唱えていたが、とうとう4回目でヒットしたのだった。
「うわぁ!!」
「しまった!な、流される・・・」
「よし、チェルミ今だ。」
チェルミはディルバの声とともに2人を魔法の輪で拘束してしまう魔法をかけた。
すると、2人はうなだれたまま手を後ろにして固まっていた。
「どうして魔法を使わなかったの?
あなたも魔法を使えるときいたわ。」
「使えるけれど、動きながらは魔法は使えない。
それはそっちもわかっていたんじゃないんですか。
それにしても、いいコンビネーションだ。
妖精王いいでしょう。
お妃もあなたになっていただけるのなら、とてもいい。
私も統括部を説得しましょう。」
「アウル・・・君は。」
「僕は魔法だって使える妖精です。
ずっとそれで蔑まれて生きてきた。
でも、能力と魔法が堂々とくっついて存在できる国っていうのもいいんじゃないかと思えました。
いや、くっついてほしい。
人間界にいて、もどってくると冷たくあしらわれるのは、誰しもつらいことですからね。」
「アウルってほんとは故郷思いのいい人だったのね。」
「なっ・・・なんか・・単純、いや、純粋なお嬢さんですね。
それに、2人とはまた別の力も加わっている。
手のそれは何ですか?」
「ああ、これは人間って種族のお友達がね。
あなた方に勝てるように作ってくれたものなの。
私がディルバの上から降ってこられるようにする装置よ。」
「降って???はぁ。それはすごい・・・。」
「私たちには協力してくれるいろんな種族の人がいる。
とにかく、好かれていればどの種族でもいいんじゃない?ってこと。」
「なるほど。人脈があれば心丈夫だし、楽しいよね。
ディルバ・・・妖精の森をこれから頼むよ。
しばらく、妖精王候補は出ないと思うし、君が適任だ。よろしく・・・」
「ああ。がんばるよ。」
妖精王騒ぎも収拾がついたようでやっと無事にディルバの家へともどれた。
ふと気がつけば、残り2週間ほどで卒業式を迎える。
チェルミは部屋にもどってから黙りこくってしまった。
そして、ディルバも卒業式の仕事で毎日の帰り時間が遅くなっていた。
(私はいったん魔法の国へもどった方がいいのかもしれない・・・。
ディルバは先生で妖精王だもん。
私はこのままじゃ、ディルバにふさわしくなんてないんだろうなぁ。
ミレイお姉さまのお式には出るつもりだけど、その後ディルバの家にはもどれない。
ここには帰れない・・・。
私にはやらなきゃならないことがあるもの。)
そんなことを思いながら、卒業式前日の夜を迎えた。
チェルミが物干しで空を見上げていると、ディルバがやってきて言った。
「ひとりで帰るつもりなのか?」
「えっ!!」
「俺が何も見ないで忙しくしてただけだと思っていたのかい?
君が毎日空を見つめて考えていたのは知ってる。
もしかしたら、俺に愛想を尽かせるつもりか?って考えたりしてね。」
「そんな。・・・そんなことは決して・・・でもひとりで帰るつもり。」
「どうしてだ?いっしょに妖精の森を立て直してやっていくのを手伝ってくれるんじゃないのか?」
「今の私ではダメ。ダメなの。」
「何がダメなんだ?
俺が嫌になったのか?」
「そんなことない。妖精王って大変なお役なこともわかったし、王族ってボケ~~っとしていられないこともわかったわ。
だから、もっと・・・もっと勉強しなきゃいけないと思ったの。
人間界のことは少しわかったわ。
でも、それだけじゃいけないの。
新しくなった妖精の森や魔法の国をよりよくしていかなきゃって思ったの。
だから・・・少しだけ時間をもらいたいの。だめ?」
「3年以内だ。それ以上は待てない。」
「ぷっ。何、それ・・・宿題なの?」
「俺は1日たりとも待ちたくない。
こんなこと以前なら、はずかしくて言えなかった。
だけど、チェルミといっしょに住んで過ごしているうちに時々忘れてしまうんだ。
自分が教師で教え子に恋してしまったことをね。」
「あ・・・」
「一生懸命、俺についてきてくれた君の姿や、必死に魔法を使ってくれたこと。
命をかけてついてきてくれた。
自分の父親や兄弟が亡くなってしまっても、俺のそばにいてくれた。
俺を助けに来てくれた。
教え子なんて言ってられない。
俺の大切な女性(ひと)なんだから。
俺はもうこの女とじゃなきゃ、生きられないんだから。」
3回目に火の魔法がかすったようだったがテレポートでうまく逃げられてしまった。
そして4回目に水の魔法の呪文を唱えていたが、とうとう4回目でヒットしたのだった。
「うわぁ!!」
「しまった!な、流される・・・」
「よし、チェルミ今だ。」
チェルミはディルバの声とともに2人を魔法の輪で拘束してしまう魔法をかけた。
すると、2人はうなだれたまま手を後ろにして固まっていた。
「どうして魔法を使わなかったの?
あなたも魔法を使えるときいたわ。」
「使えるけれど、動きながらは魔法は使えない。
それはそっちもわかっていたんじゃないんですか。
それにしても、いいコンビネーションだ。
妖精王いいでしょう。
お妃もあなたになっていただけるのなら、とてもいい。
私も統括部を説得しましょう。」
「アウル・・・君は。」
「僕は魔法だって使える妖精です。
ずっとそれで蔑まれて生きてきた。
でも、能力と魔法が堂々とくっついて存在できる国っていうのもいいんじゃないかと思えました。
いや、くっついてほしい。
人間界にいて、もどってくると冷たくあしらわれるのは、誰しもつらいことですからね。」
「アウルってほんとは故郷思いのいい人だったのね。」
「なっ・・・なんか・・単純、いや、純粋なお嬢さんですね。
それに、2人とはまた別の力も加わっている。
手のそれは何ですか?」
「ああ、これは人間って種族のお友達がね。
あなた方に勝てるように作ってくれたものなの。
私がディルバの上から降ってこられるようにする装置よ。」
「降って???はぁ。それはすごい・・・。」
「私たちには協力してくれるいろんな種族の人がいる。
とにかく、好かれていればどの種族でもいいんじゃない?ってこと。」
「なるほど。人脈があれば心丈夫だし、楽しいよね。
ディルバ・・・妖精の森をこれから頼むよ。
しばらく、妖精王候補は出ないと思うし、君が適任だ。よろしく・・・」
「ああ。がんばるよ。」
妖精王騒ぎも収拾がついたようでやっと無事にディルバの家へともどれた。
ふと気がつけば、残り2週間ほどで卒業式を迎える。
チェルミは部屋にもどってから黙りこくってしまった。
そして、ディルバも卒業式の仕事で毎日の帰り時間が遅くなっていた。
(私はいったん魔法の国へもどった方がいいのかもしれない・・・。
ディルバは先生で妖精王だもん。
私はこのままじゃ、ディルバにふさわしくなんてないんだろうなぁ。
ミレイお姉さまのお式には出るつもりだけど、その後ディルバの家にはもどれない。
ここには帰れない・・・。
私にはやらなきゃならないことがあるもの。)
そんなことを思いながら、卒業式前日の夜を迎えた。
チェルミが物干しで空を見上げていると、ディルバがやってきて言った。
「ひとりで帰るつもりなのか?」
「えっ!!」
「俺が何も見ないで忙しくしてただけだと思っていたのかい?
君が毎日空を見つめて考えていたのは知ってる。
もしかしたら、俺に愛想を尽かせるつもりか?って考えたりしてね。」
「そんな。・・・そんなことは決して・・・でもひとりで帰るつもり。」
「どうしてだ?いっしょに妖精の森を立て直してやっていくのを手伝ってくれるんじゃないのか?」
「今の私ではダメ。ダメなの。」
「何がダメなんだ?
俺が嫌になったのか?」
「そんなことない。妖精王って大変なお役なこともわかったし、王族ってボケ~~っとしていられないこともわかったわ。
だから、もっと・・・もっと勉強しなきゃいけないと思ったの。
人間界のことは少しわかったわ。
でも、それだけじゃいけないの。
新しくなった妖精の森や魔法の国をよりよくしていかなきゃって思ったの。
だから・・・少しだけ時間をもらいたいの。だめ?」
「3年以内だ。それ以上は待てない。」
「ぷっ。何、それ・・・宿題なの?」
「俺は1日たりとも待ちたくない。
こんなこと以前なら、はずかしくて言えなかった。
だけど、チェルミといっしょに住んで過ごしているうちに時々忘れてしまうんだ。
自分が教師で教え子に恋してしまったことをね。」
「あ・・・」
「一生懸命、俺についてきてくれた君の姿や、必死に魔法を使ってくれたこと。
命をかけてついてきてくれた。
自分の父親や兄弟が亡くなってしまっても、俺のそばにいてくれた。
俺を助けに来てくれた。
教え子なんて言ってられない。
俺の大切な女性(ひと)なんだから。
俺はもうこの女とじゃなきゃ、生きられないんだから。」

