その夜、チェルミはとてもさびしい気持ちになった。
ディルバが言った何気ない一言に、あとになってから思いふけっている。
「君が故郷に帰ってしまっても、僕は・・・担任だから」
何も間違ったことは言ってない。
ただ、そう口に出されるとやっぱり自分がよそ者に思えてくる。
「先生だって、妖精族なのに・・・。」
半分とか人間とまじっているとここで暮らすことになる。
カリフがそうなんだなぁ・・・。としげしげにらんでしまう。
見た目は同じなのに、純粋種と差別された生き方をしていると最近思うようになった。
そういえば、妖精族は暮らすところではとくにここで生きなくてはならないということはない。
純粋種・・・とくに王室の者たちが暮らす以外は好きなところに住んでいるときいた。
王室だって遠い親戚や個性的な面を持っていて、人間界へ来ている者も少なくないそうだときいた。
魔法使いだけが魔法の国を築いているのはなぜなんだろう・・・。
それをまだ、きいていないことを忘れていた。
自分はそれほど罪になることをしたのだろうか。
いや、姉にとってはためになったはずだ。
ああ、また余計なことを考えてる。
早く自分にとって、正しいことをしなくては!
そう思ってカリフの前に魔力をもらいにいくと、ディルバがまた現れていた。
「あれ、先生。どうしたんですか。」
「魔力を受け取るんだろ、俺がそれをやる。」
「え・・・だって・・・。口移しだから・・・」
「だから俺がやるって決めた。」
「この町内に住んでいて、俺から隠れたとは思わない方がいい。」
「それはわかってますけど・・・・・でも。」
カリフはあきらめた顔をして、ディルバにもらうようにと指示している。
チェルミは目をつぶってディルバにもらうことにした。
「私・・・前からこんな感じだった。そう・・・覚えてる。」
カリフはディルバに言った。
「俺はやっぱりこの関係をなしにはしたくない。
少なくとも俺からはな。」
「そうみたいだな。っていっても担任でいる間って残り少ないみたいだけど・・・。」
「ああ、それはまたいい機会だと思ってるさ。」
「いい機会?」
思わずチェルミは目を開ける。
「卒業まで残り1年をきったってことだからな。」
「わ、私まだ、先生となんて決めてませんから!」
「へぇ、俺は卒業まで1年をきることしか言ってないのに?」
「ぶっ・・・!だったら魔力補給の手伝いなんてしなきゃいいのに。」
「ああ、俺が悪かったよ。ちょっといじめてみただけさ。
俺は正直いって、君を泣かせる存在だけにはなりなくなかった。
俺が担任らしく君も生徒のひとりだって思えれば、誰も傷つくことはなくなると信じていたんだ。
でも、君が狙われているのがわかってしまっている以上・・・僕はまだ退くことはできない。
それと、魔力の供給他の男がするなんてこと許せなくなってしまって。」
「じゃ、先生は私のことが気になるんでしょ。」
「あ、ああ。すごく気になる。
こんなことを言ってる時点で、俺はもう普通じゃなくなっている。
ああ、カリフには迷惑をかけどおしになるけど、この気持ちはどうにもできないな。
ただし、2人でいるときだけだ。
まだ、先生と生徒でいる限り、妙なことはできないからね。
それだけはわかってほしい。」
「はい。もちろん。
今はそれで十分だわ。」
「なぁ、おふたりさん・・・そろそろ授業をやってもいいですかね?」
「あっ・・・すまない。」
「ごめんなさい。」
チェルミはディルバがまだ担任だということで悩んでいることはわかっていた。
しかし、補給だけは自分が!と言い張ることだけでもうれしかった。
今はこれだけでも十分だと思えるから不思議だ。
自分を狙ってくれた犯人にお礼を言いたいくらいだ。
だが、これからは自分を狙う敵が増えてくるとジェミオは言ったし、襲ってこられたらどうしたらいいんだろうと心配にはなってしまう。
少なくとも昼は普通の人間に違いがないのだから。
ディルバが言った何気ない一言に、あとになってから思いふけっている。
「君が故郷に帰ってしまっても、僕は・・・担任だから」
何も間違ったことは言ってない。
ただ、そう口に出されるとやっぱり自分がよそ者に思えてくる。
「先生だって、妖精族なのに・・・。」
半分とか人間とまじっているとここで暮らすことになる。
カリフがそうなんだなぁ・・・。としげしげにらんでしまう。
見た目は同じなのに、純粋種と差別された生き方をしていると最近思うようになった。
そういえば、妖精族は暮らすところではとくにここで生きなくてはならないということはない。
純粋種・・・とくに王室の者たちが暮らす以外は好きなところに住んでいるときいた。
王室だって遠い親戚や個性的な面を持っていて、人間界へ来ている者も少なくないそうだときいた。
魔法使いだけが魔法の国を築いているのはなぜなんだろう・・・。
それをまだ、きいていないことを忘れていた。
自分はそれほど罪になることをしたのだろうか。
いや、姉にとってはためになったはずだ。
ああ、また余計なことを考えてる。
早く自分にとって、正しいことをしなくては!
そう思ってカリフの前に魔力をもらいにいくと、ディルバがまた現れていた。
「あれ、先生。どうしたんですか。」
「魔力を受け取るんだろ、俺がそれをやる。」
「え・・・だって・・・。口移しだから・・・」
「だから俺がやるって決めた。」
「この町内に住んでいて、俺から隠れたとは思わない方がいい。」
「それはわかってますけど・・・・・でも。」
カリフはあきらめた顔をして、ディルバにもらうようにと指示している。
チェルミは目をつぶってディルバにもらうことにした。
「私・・・前からこんな感じだった。そう・・・覚えてる。」
カリフはディルバに言った。
「俺はやっぱりこの関係をなしにはしたくない。
少なくとも俺からはな。」
「そうみたいだな。っていっても担任でいる間って残り少ないみたいだけど・・・。」
「ああ、それはまたいい機会だと思ってるさ。」
「いい機会?」
思わずチェルミは目を開ける。
「卒業まで残り1年をきったってことだからな。」
「わ、私まだ、先生となんて決めてませんから!」
「へぇ、俺は卒業まで1年をきることしか言ってないのに?」
「ぶっ・・・!だったら魔力補給の手伝いなんてしなきゃいいのに。」
「ああ、俺が悪かったよ。ちょっといじめてみただけさ。
俺は正直いって、君を泣かせる存在だけにはなりなくなかった。
俺が担任らしく君も生徒のひとりだって思えれば、誰も傷つくことはなくなると信じていたんだ。
でも、君が狙われているのがわかってしまっている以上・・・僕はまだ退くことはできない。
それと、魔力の供給他の男がするなんてこと許せなくなってしまって。」
「じゃ、先生は私のことが気になるんでしょ。」
「あ、ああ。すごく気になる。
こんなことを言ってる時点で、俺はもう普通じゃなくなっている。
ああ、カリフには迷惑をかけどおしになるけど、この気持ちはどうにもできないな。
ただし、2人でいるときだけだ。
まだ、先生と生徒でいる限り、妙なことはできないからね。
それだけはわかってほしい。」
「はい。もちろん。
今はそれで十分だわ。」
「なぁ、おふたりさん・・・そろそろ授業をやってもいいですかね?」
「あっ・・・すまない。」
「ごめんなさい。」
チェルミはディルバがまだ担任だということで悩んでいることはわかっていた。
しかし、補給だけは自分が!と言い張ることだけでもうれしかった。
今はこれだけでも十分だと思えるから不思議だ。
自分を狙ってくれた犯人にお礼を言いたいくらいだ。
だが、これからは自分を狙う敵が増えてくるとジェミオは言ったし、襲ってこられたらどうしたらいいんだろうと心配にはなってしまう。
少なくとも昼は普通の人間に違いがないのだから。

