変わり者同盟

悪口を言われてるワケじゃない。

無視されてるワケじゃない。

物が壊されるワケじゃない。

暴力をふるわれるワケじゃない。


ほんの軽い冗談を言われてるだけ。
イジられてるだけ。


それだけだ。

いじめられてるワケじゃ・・・ない、よね?


きゅっと唇を真一文字に結んだ。

“イジられること”と“いじめられること”の、境界線ってどこにあるんだろう。


――分からない。

分からないけど、いじめられてなんてない。

そう、思いたい。


気弱で、意気地なしで、弱虫な私は、気力を振り絞って、立ち上がる。


独りぼっちになりたくない。

私は、それだけを思っているような気がする・・・ううん、違う。気がするじゃなくて、そうなんだ。

私は。独りぼっちになりたくないって思ってる。だから、彼女達から離れられないんだ。



そんな私の脳裏に浮かぶのは、独りでも平然としている、彼。


・・・・・・久流、君・・・。


独りだろうと気にしないで、いつだって飄々としている彼が・・・羨ましい。

入学式の日から、ずっと、久流君は、私の憧れだった。
それは、今でも変わらない。


そんな彼に、話しかけろというのは、私にはハードルが高すぎる。

でも、私には彼女達の言葉を跳ね返すなんて芸当、できるはずがない。


「・・・・・・頑張ろう・・・。」


私は小さく呟き、昼休みが終わらないうちに昼食のお弁当を食べるため、教室へと急いだ。