気まぐれでも、何でも、久流君が私に笑いかけてくれたのは事実。

“変わり者同盟”を、私から破っちゃいけない。


「・・・・・・・・・・・・うざ。」

すももちゃんから発せられたのは、冷たい冷たい声。


「何、青春しちゃってんの?勝手に、久流君巻き込まないでよ。」

「うんうん!冬香、妄想ヤバイぞ~」

「久流君が可哀想だよ冬香。」


すももちゃんが低い声で言い、菜子ちゃんが頷いた。美沙ちゃんは哀れみの瞳を見せた。


「・・・・・・っ・・・」

痛い。
心が、痛い。

ねぇ、私達って・・・友達、だったよね?


「てかさー。そのお弁当って、1つは久流君へのだったりする~?」

「あっ・・・!!!」


菜子ちゃんが嘲笑を浮かべながら私の手からお弁当を2つ奪い取った。

美沙ちゃんがそれを見て、フッと鼻で笑う。


「なーんだ。お弁当作ってもらうために久流君冬香に近づいたんだぁー。

冬香、家政婦代わりだったってわけね~。」

「何ソレ!ウケる~」

ケラケラと笑い始める菜子ちゃん。


すももちゃんは、ふわりと微笑んだ。

「なぁんだ、そういうことだったんだ。
でも、やっぱりムカつくなぁ~」


すももちゃんがそういい終わるが早いか、菜子ちゃんが――お弁当の中身を、トイレの床にぶちまけた。


あまりのことに目を見開き絶句していると、3人が朗らかに笑い始めた。


「あー!やっちゃったぁ~。手が滑ってうっかり~」

「ちょっと菜子、うっかりって何よ~!」

「冬香、ごめんねー。でも大丈夫、久流君にはあたしのお弁当あげるから!」