げんなりと大河内さんは呟き、久流君を真っ直ぐに見据えた。

「でも、本当にいいのかい?あんただって、確実に分かってるわけじゃないんだろう?
それなのに、この子に聞かせて。」

「いいんですよ。というか、聞かせたいんです。
俺、隠し事とか、苦手ですし、できれば仲良くなりたいですから。」

柔らかく微笑んだ久流君を見て、私は少し不安になる。


これから聞かされることって、そんなに嫌な事なの?
私に・・・耐えられるものなの?

つと俯いたけれど、私はすぐに顔をあげ、大河内さんを真っ直ぐに見つめた。


「私にも、聞かせてください!」


せっかく、久流君が私に聞かせてくれようとしてるんだ。

仲良くしたいって言ってくれているんだ。


好きな人にそう言ってもらえるのって、すごくすごく素敵なことだと思う。

それなのに、自分の不安で台無しになんて、したくない。


大河内さんは、久流君と私を見て、にやりと笑った。

「ふぅん・・・やっぱり、青春だね。
どっちも、気付いてないみたいだけど。」


・・・・・・気付く?

疑問に思ったのは久流君も同じらしく、私と久流君は顔を見合わせた。


そんな私達を見た大河内さんは、更ににやにや笑う。

「これからが楽しみなことだね。

ま、とりあえず今は話そうか。」


そう、大河内さんが言った途端、キーンコーンカーンコーン・・・と、予鈴が鳴った。


「あ!5時間目始まっちゃいます!」

私が声を上げれば、大河内さんは実に嬉しそうに笑った。

「おぉ。じゃ、早く教室に行きな。この話は、またずぅーっと後で。」

「明日の昼休み、また来ます。」


さらりと久流君が言い、大河内さんは舌打ちをした。

「ったく。忘れてくれりゃ、いいのに。
とにかく、ほら、さっさと行きな。遅れるよ。」