変わり者同盟

だって『久流君ことが好きだって気付いて、恥ずかしくなったの』なんていえるわけないもん・・・。


ていうか、好き?
改めて確認した私は、穴があったら入りたい衝動に駆られた。

好き・・・私が・・・久流君を・・・・・・


「な、なんておこがましい・・・」

思わず呟いた。


気弱で意気地なしでかなり平凡な私が、いつだって飄々としてる端整な顔の久流を好き?

なんて身の程知らずなんだろう。

久流君はあの可愛いすももちゃんでさえ、振り向かせるのに四苦八苦しているというのに。

私なんかが好きになったとしても・・・結果なんて、みえみえ。

大体、私はすももちゃんの恋を応援しなきゃいけないんだよ?
好きになって、どうするの?


「・・・・・・っ・・・」

馬鹿。本当、馬鹿。
なんで、好きになんてなってるの。

“憧れ”なら、良かったんだよ。“憧れ”なら。
でも“好き”は、駄目だよ。“好き”は。


だって、辛いじゃないの。

すももちゃんと久流君が付き合ったら、辛いじゃない。

お似合いだねって、祝福、できないもんっ・・・。



「お。クロじゃん。」

悶々としていると、突然久流君が立ち上がった。


クロ・・・?

心の中から現実に戻った私は、久流君が森の奥の方へと歩いていっているのを見た。


久流君の歩いている先には・・・・・・

「あ。」


ポツリと呟いてしまった。

久流君が歩いて行った先にあった木の枝に、ちょこんとカラスが足をかけていたから。