変わり者同盟

久流君は、私の憧れ?

まだ口の中にお米が入っているのにもかかわらず、私はピタリと動きを止めた。


――確かに・・・今まで久流君は私の憧れだったけど・・・

今は、なんか、違う気がする。
なんだろう・・・憧れ、じゃなくて・・・そんなじゃなくて・・・私は・・・

・・・・・・私は・・・久流君のことが――


「比佐乃?」

ハッと気が付けば、久流君が私の顔を覗きこんでいた。
端整な顔のドアップ。

ひぇぇぇぇぇ・・・


思わず、ズズズズッと、後ずさりしてしまった。

勢いで、ごくん、と、そのまま口の中にあったお米を飲み込む。


久流君は首を傾げつつ、不思議そうに私に言う。


「比佐乃、なんか、ボーっとしてたけど、どうした?」

「べ、べべべ別に、なんでもないですっ!!!」

「敬語になってる。」

「す、すみませ・・・じゃなくて、ごめん!!!」


どもりまくりの私を、久流君は不可解な物を見るような目で見た。


どうすればいいんだろう、この場合。

そう考え始めた時、頭の中を、さっきまでの考えが過ぎる。


・・・・・・私は・・・久流君のことが――

その言葉の先が、かなり容易に分かってしまった私は、思わず顔に熱が集中するのを感じた。


――――好き。

その思いが、頭の中を、心の中を満たして、馬鹿みたいに私の体温を上げる。


「比佐乃・・・顔赤いけど、熱か?」

久流君が心配そうに聞いてきたから、私はぶんぶん首を横に振った。


「違う、よっ・・・ただ、ちょっと、ね・・・。」

私は慌ててごまかす。