変わり者同盟

久流君の指に触れられてるところだけ妙に熱いのは、なんでだろう・・・。

そうぼんやりと思いつつも首を振り続けていれば、久流君が顔をあげ、じっと私を見た。

視線が、また、絡め取られる。


「・・・・・・そうだよ、な。比佐乃は、そうなんだよな。」

少しの間のあと、久流君が再確認するように呟く。

私の、身長の低さと足の短さのこと?

けれど、久流君はそんな私の予想からは考え付かないことを言った。


「比佐乃は、怒んないんだ。」


―――――――え?


怒んない?

予想外すぎる答えに、私の心の中は、落ちかなげにざわめき始めた。


久流君は、ただ真っ直ぐに私を見つめる。痛いくらい、に。
私は、久流君の澄んだ黒い瞳から、視線が逸らせない。


「怒んないで、自分が悪いって言うんだ。怒ってもいいのに。」


静かな声なのに、やけに私の耳にハッキリ聞こえてくるのは、ここがしんと静まり返っているから?


「・・・なぁ、比佐乃。怒ってもいいんだよ、本当に。
“私のこと考えないとか、ヒドイ!”とか言って、いいんだよ。」


私の手首を、久流君の指がぎゅっと握った。

何かのエネルギーを私に与えるかのように、強く、確かに触れる、久流君の指。


「比佐乃、俺のこと、怒っていいんだからな。
遠慮、すんなよ?」

久流君は言った後、私の手首をそっと離した。


「変わり者同士だろ?」


私の顔を覗きこみ、久流君は子犬のような人懐っこい笑みを浮かべた。

ぽんぽん、と、私の頭を、大きな手が撫でる。


――ドクドク・・・ドキドキ・・・ドクドク・・・ドキドキ・・・

私の心臓が、2つの音を奏でてる。