そのことか。
「それはもう調べ済みだ。忍の特訓であれば夜の方が最適だから、小松はその練習法を選んだのかもしれない」
だがどうしても、あいつの味方になったような答えになってしまう。
「……だが、小松は外に出てはならない身だ。俺から注意をしておく」
俺がそう言うと、沖田さんはまだ納得出来ないような表情を浮かべた。
だが、やがてふっと頬を緩める。
「山崎さん、変わりましたよね。芳乃さんが来てから」
「……何がだ」
「少し、丸くなりました。今までは、私達のこと嫌いなのかと思っていたので」
沖田さんはそう言うと、俺にすっと頭を下げて、横を通り過ぎていった。
変わった……か。
……そうなのかもな。
小松の存在は、俺の中ではやはり大きいのか……。
それに、新撰組に入ってから気付いたこと。
今までは、ただの人斬りだった新撰組。
だが……本当は、斬るのが一番の目的ではなく、捕縛を一番としていることに。
どんな相手だとしても、捕縛優先だということに──。
後に起こるとある事件で、俺はそれを痛感することとなる。

