闇ノ雫





それから小松のことを調べたが、何一つ情報は出てこなかった。


……それが、未来から来たという事実を証明していることは明らかであった。


小松はこの時代の人間。


だが、一度未来に行き、また戻ってきた。


俺の調べにより、それは明確にされたのだ。


しかし、それでも局長と副長は疑り深かった。


小松が、未来から来た証拠を見せても、俺が調べたことをそのまま述べても。


局長と副長たけではない、その他の幹部の人達も、小松を信じる者は誰一人としていなかった。


そう、それは根本的なこと。


時空移動など有り得ない。


如何なる理由があったとしても、そんなこと、起こるはずがない。


本来であれば、本当のことを言うまで副長が拷問などをする。


が、相手は女だ。


いくら副長でも、そんなこと出来るはずがなかった。


だから局長は、このような案を出してきた。


“自分達が信じていると、見せかけよう。小松さんの行動をそれぞれ見て、嘘か本当か見分けよう”と。


その意見に反対する者は、一人もいなかった。