闇ノ雫




俺は殺していない、それでも、小松家を殺したのは紛れもなく山崎家。


俺達は、敵。


……だが、芳乃から俺の存在の記憶が消えているならば。


俺の中からも、消してしまえばいい。


芳乃……いや、小松。


俺はお前への感情を、また一からやり直すことにするから。


お前の命と笑顔を守りたい……だが、それすらも許されないかもしれない。


敵であるのに、こんなの矛盾しているかもしれない。


それでも……守りたい。


だが、もう好きにはならない。


なってはいけない。


それ以上は望まない、望めない。





「俺は山崎烝だ。新撰組監察方をやっている」


「私は……さっきも言ったけど、小松芳乃」





だから、この想いに蓋をしよう──。