実際、芳乃も、俺達には分からないような戸惑いを感じているようだった。
そう、俺達には分からないこと、理解できないようなことをこいつは抱えている。
それが、芳乃や小松家が消え、両親からは記憶までも取り除いた原因を解く鍵となるのでは、と思った。
「貴方達は新撰組なんですか?」
「さっきも言っただろう」
「本物の、新撰組なんですか……?」
「本物じゃなかったら他に何だってんだよ。お前な、さっきからふざけるのも大概にしろ」
芳乃は副長に何度も念を押すように確かめると、だんだん顔を歪ませていった。
「あの……すみません、少し考えさせて下さい」
「あ?何でだ。今すぐ言えねぇのか?」
「じゃなくて、あの……」